プリンス・オブ・ペルシャ クラシック

悪の高官ジャファーに「俺と一時間以内に結婚しなければおまえは死ぬ」というセンス溢れる呪いをかけられたムスリム王女を助けるために、刻々とカウントダウンされるデジタル表示の呪い時間を気にしながら、アラビアンナイト気取りのよそものを操作。ギロチンで真っ二つになり、棘で串刺しになり、敵に斬り殺されズタズタになっては、リトライを繰り返し、気づけば残り時間の表示はゼロ。まあ一回目だしあっさりゲームオーバーか……とあきらめかけたそのとき! なんと! 何も! 起こらなかった!
残り時間がゼロのままゲームが続くのに違和感を覚えながらも、せっかくなので、さらに生と死を行き来しながらもう一時間かけてジャファー先生のもとへ。敬意を表して斬り殺し奥に進むと、とっくに死んでるだろうと思った王女はなぜか悠々と生きのびていた。しかもめでたい雰囲気でエンディングまで始まった。なんか呪いがうやむやになったけどハッピーエンドでよかったですねー、お幸せにー。
そう素直に思いかけたが、どうも違うぞこれは。
ゲーム開始直後に「一時間で死ぬ」というテキストが表示され、プレイ中に時間がカウントダウンされていたせいで、クリア条件としての一時間制限だと思い込んでいたが、よくよく思い起こしてみると「結婚しなければ」という条件付き呪いだったのだから、そこから論理的に考えを進めると、ゲーム開始から二時間後に嬉々として笑っているこの王女は悪者のジヤファーと結婚(≒セックス)してるってことだ。直接的には一切言及されないが、そうとしか想像できない。ゲーム的には一時間以上かかっても何も変わらないが、イスラム的にはこっそりとものすごいバッドエンドになっていたのだった。
時間内にクリアしないとゲームオーバーというゲームはよくあるけれども、時間内にクリアしないと後味が悪くなるというゲームは珍しい。まあ一応、時間内にクリアしなければゲームオーバーになるサバイバルモードというのもあるんだけど、それは二周目用のモードだから本道ではないね。