明日で休みが終わりなので明後日の朝が不安だね

「俺、この前森を歩いてたらさ、魔法使いに出会ったんだ。皺くちゃの顔で丸まった背中を覆うようにローブを着込んでたからガンダルフだと思ったんだ。杖もついてたし。霧も深かったし。それで、これは積年の夢をかなえてもらうチャンス! 照れずに突っ走って幸運を味方につけよう! ってイマジナリー小松未歩に後押しされて、ぼく、幼なじみに朝起こしてほしいんです! って言ったんだ。ちょっと照れちゃったけど突っ走ったんだ。すると魔法使いは、にやりと笑って、ズタズタにかきむしられた目覚まし時計を取り出したんだよ。それを見たらさあ、起こしに来てくれた幼なじみを半分寝たままズタズタに引き裂いて、目が覚めると血溜まりの中に横たわる幼なじみが、「あ……はは……おはよう…………起きられたんだね……よかった……」って言って絶命するような未来が待っている気がしてきて、涙が止まらなくなってさ、やっぱりいいです、僕は自分の力で起きれるようになります! って思わず宣言したんだよ。俺それからは毎日自分で起きられてるんだよ」
「おー、そりゃいい話だね。やっぱり知識と機転で相手を心変わりさせるようなのがいい魔法使いだよな。そういえば俺もこの前魔法使いに会ったときに、かわいい幼なじみに毎日起こしてほしいって言ったんだけどさ、どうなったと思う? 即座に幼なじみな彼女を召喚してくれてさ、「E・G・O! E・G・O!」ってコールしながら喜んでたら直後にその幼なじみを自動起床装置おこし太郎に変身させられてさー、そういうことじゃなかったのに……って真顔になったもんな。性別も変わってるし。ったく、召喚とか変身とか目に見えた魔法に頼るうちは二流だよな」
「変身させたっていうか呪いだよなそれ。でもがんばって呪いを解けば幼なじみに戻るかもっていう希望はあるじゃん」
「まあな」
「ていうかさ、ここらで自動起床装置おこし太郎(98,000円)の商品リンクでもを貼って終わろうと思ったらアマゾンに売ってないんだな。辺見庸の自動起床装置でいいかな」
幼なじみな彼女でいいんじゃないの?」
「そうやってさー、5年も前のエロゲーを引き合いに出すのがアラサーっぽいんだよ。前回の更新も10年前のAIRだし、もう完全に凝り固まってるのかな」
「もういいじゃん、開き直って今日もセミ食おうぜ」
むしゃむしゃ。
セミっぽい!」
むしゃむしゃ。
セミっぽい!」
むしゃむしゃ。
セミっぽい!」
むしゃむしゃ。
セミっぽい!」
いまでは気を散らすものは何もなかった。