MOONLIGHT MILE 10巻

MOONLIGHT MILE 10 (ビッグコミックス)

MOONLIGHT MILE 10 (ビッグコミックス)

プラネテスをマンガとしてのリアリティがある作品だと言うならば、このMOONLIGHT MILEは現実としてのリアリティ(変な言葉)がある作品だと言える。どちらも近未来における宇宙開発という舞台設定の点では共通しているんだけど、その登場人物の描き方はまったくと言っていいほど違っている。
プラネテスでは、すべての登場人物は、ひとことで表せてしまうような、マンガ的で極端な性格や内面を持っている。タナベの愛もハチの宇宙もハキムのテロも、誰もが自分の正義のために行動しているというような真っ直ぐさである。この純粋さには、確かに心を大きく動かされるんだけど、それはあくまでマンガのキャラクターとしての魅力に過ぎない。
一方のMOONLIGHT MILEでは、登場人物たちは、性悪説に則った、利己的で、ある意味人間らしい性格を持っている。そして、そういった利己的な政治家たちの、宇宙資源を巡った外交や裏工作が、これはもしかして本当の未来なんじゃないか? とさえ思えるほどの圧倒的なリアリティで描かれている。プラネテスのマンガらしさとは好対照だ。さらに10巻では、月での最初のISA(国際宇宙機構)総会で、世界初のムーンチャイルドの妊娠が発覚するというアクロバティックな展開が訪れて、さあ興奮は最高潮に。11巻はまだなんですか?

追記

あーなんか、MOONLIGHT MILEを褒めるためにプラネテスを貶めたみたいになっちゃったけど、おれはどっちも同じくらい大好きなので、あしからず。