ゼノサーガEP3 〜孤独な宇宙の意志はせつなくてシオンちゃんを思うとすぐ接触しちゃうの〜

アキレスにも亀にも追いつけないほどトロいシンボルによるエンカウントなので、脇を走り抜ければほぼすべての敵を回避できる上に、トラップとは名ばかりの有効範囲5メートルのリモコンで操作する爆弾を使うことで確実に囲んで先攻半殺しもできるので快適ストレスレス。ロードがPS2RPGとしては鬼でらナンマーラ早くてポテトティップを一枚取る暇もないので、マップを切り替えたり戦闘に入ったりメニューを開いたりしても軽快ストレスレス。戦闘の内容自体も普通のコマンド戦闘にブースト兼必殺技用のゲージというギミックが加わっただけなので、適当にやってても大丈夫だぜビバものぐさなぼくらという感じで悠々ストレスレス。攻撃のエフェクトの時間も概ね許容範囲内。戦闘が面倒くさくないゼノサーガなんてゼノサーガじゃないやいとは言わないが、びっくりするほど面倒くさくないので、素直にびっくりした。
1でRPGらしからぬ数のキャラクターや壮大なスケールの思わせぶりシナリオに引き込まれたものの、2ではアルベドの気狂いキャラはおもしろかったが、ストーリーは停滞し、ロードやエフェクトが長くあらゆる操作が面倒くさくて、このままで大丈夫だろうかと不安になったが、その遅れをすべて取り返すかのような3の怒涛の展開は初めから終わりまでおもしろかった。宇宙が超光速でびょんびょん消滅してゆくなかで、数十人の名のあるキャラクターと数多の無名のキャラクターを含む、考えを異にする(と思われた)数個の組織が、鍵となるひとつの惑星に集まってドンパチを始める様はぞくぞく。そして相変わらずアルベドはついつい真似したくなってしまう素敵な口調。おもしろスペースファンタジーという全体の印象よりもフィストファックアルベドの印象の方が強いほどだ。ゼノサーガグッズとして、フィストファックトモモちゃんという人形はどうだろうな。腹のあたりに手を入れる穴があいているが、女性器ではないので、ジョークグッズでもなんでもないのだ。トイザらスで買える。
全体の印象についてだが、もともとEP1の予定だった部分がEP1とEP2になってしまった(らしい)なんていうとんでもねえ遅れっぷりのシリーズなので、必要でないイベントはすべて削り、必要に思えるイベントもいくらか削り、ストーリーラインを追うのがやっとというくらいに要点だけを展開して、EP3に本来のEP2とEP3を押し込めているというような感じだった。瑣末な伏線はほぼ無視である。EP4も作ってゆっくり物語るというわけにはいかなったのか。下降する売り上げがそれを許さないのですか。ねえ。ねえ。
構成としては、数十時間ムービーを見ているだけだと味気なくて飽きてくるから合間合間にダンジョンや戦闘をつまんでお口直しという感じで、シナリオを見たいだけのおれにとっては非常によいバランスにまとまっていたゲームと言える。これもまたゲームバランスだよね。
そういったわけで、戦闘やダンジョンも不要だとは感じなかったが、RPGであることには少し疑問を感じた。結局最後はラスボスと殴り合うのだろうとか、イベントでパーティのキャラが死にかけていても結局助かるのだろうとかが予想できてしまう(エアリスは裏をかいて死んだが)ので、RPGであることがシナリオに影響を及ぼしているんだよな、シナリオが主導のゲームなのに。RPGのシナリオとシナリオ以外なんて水とアブラヒモビッチのように分離してるものなので、寡黙なキャラが戦闘で必殺技の名前を叫ぼうが、幼女が戦闘で魔法少女に変身しようが、それはそれとして楽しめるんだけど、戦闘をすることがシナリオに影響を与えるってのはあんまり嬉しくない。
でもそんなことを言ったら、戦闘をシナリオに含まなければならないという点で、RPGだろうがシューティングだろうがアクションだろうが、テキストアドベンチャー以外の大抵のゲームは、もともと影響を与えてる。
そんなら、SFが空想の科学を扱うジャンルであるように、ミステリが殺人事件を扱うジャンルであるように、ゲームのシナリオは戦闘行為を扱うジャンルなのだと考えれば腑に落ちるぜ。だから、ハードSFやパズラーのように、如何に戦わせるかということのみを追求したシナリオがもっとあってもいい。とすると、ゼノサーガの場合は、要所要所で個人が殴りあうことにリアリティがないので、ゲーム向きではないとなる。