チョメチョメ星人の陰謀

自分が認識している世界は自分が中心だというのにも関わらず、ほとんどの人間は自分ではなく地球が世界の中心だと考えているようです。
その理由はいたって明快。空気の所為です。
例えば、太平越線橋(仮)という建造物の長い長い下り坂を、自転車に乗って壮絶な速度で下っていると、顔の筋肉をにははっと緩ませるほどの強烈な空気の抵抗を感じます。ついさっきまでは、自分に酸素を供給してくれるナイスガイだったはずの空気が、掌を返したように荒れ狂い襲いかかってくるのです。その突然の攻撃を受けた人間は、空気というものが絶対的な背景で、自分は地球上の空気という絶対的な空間の中でもそもそと蠢く肉塊なのだということを痛感してしまいます。これがいけません。地球を絶対視などせずに、自分を信じるべきなのです。
なぜなら、これには明らかに、人類に地球を絶対視させて宇宙進出を遅らせようという、何者かの意志が働いているからです。きっと、宇宙の既得権益で日々酒池肉林の宴を繰り広げているチョメチョメ星人とかそんなやつらでしょう。チョメ子とチョメ男があんなことやこんなことをしながら下等な地球人をせせら笑っているのです。
「チョメチョメ(ぐふふチョメ子さん、下等な地球人が長い長い下り坂を自転車に乗って壮絶な速度で下って顔の筋肉をにははっと緩ませているよ。下等だねぇ)」
「チョメチョメ(そうねチョメ男さん、下等な地球人が長い長い下り坂を自転車に乗って壮絶な速度で下って顔の筋肉をにははっと緩ませているわね。下等だわぁ)」
とか言って。そんな性格の悪そうなチョメチョメ星人が地球を滅ぼそうとしないのは、宇宙人権法に、下等な知性を無闇やたらに絶滅させてはならないとか書いてあるからでしょう。そこで彼らは苦肉の策として、人類の宇宙進出を先送りさせているに違いありません。しかしながら我らが人類、チョメチョメ星人の姑息な作戦なんかに惑わされている場合ではありません。なぜって、くやしいではないですか、チョメチョメ星人なんかに馬鹿にされて。立ち上がれ人類!