ワールドカップ

一万年と二千年前からウルグアイを応援していたが、八千年過ぎた頃にオーストラリアに負けた。ならばと人間の本質であるところの肌の色がおれと同じ日本チームを応援すれば、今日初戦でオーストラリアに負けた。うぐぐ、ヒディングのガッツポーズ再び。は、腹が立つぜ。
だが。
ただ苦々しさをかみ締めているだけのおれではない。おれのウルグアイと日本に勝ったんだから絶対優勝しろよな! とステレオタイプなライバルの心情みたいなものを無理やり自分のこころに思い浮かべること数分、ついにライバルが板につき、なんとなくオーストラリアを応援する気になってきた。おれたちのぶんまで……頼ん……だ……。
ぐふ。
そんなことはどうでもいい。なんでおれは今のところワールドカップを全試合見てるんだ。そっちの方が問題だろ。このにわかワールドファック野郎が。サッカー三試合を毎日見てるだなんてあり得ないにも程がある。しかも月曜日以外はそれに野球までもがプラスされて、もうほかの何もできねえよ。カルチョビットもやれねえし本も読めねえし。
いやね。
自分の人生でただひとつだけ道を誤ったと感じているのがスポーツに興味を持ったことなんですよ。ダービースタリオン実況パワフルプロ野球、パーフェクトストライカー、ハイパーオリンピック、こういったスポーツゲームを楽しんでいたことは何にも問題はなかった。スポーツゲームっていうのは、ゲームのルールを現実のスポーツから借用しているだけで、それ以外の点では、オリジナルのゲームとして作られたアクションやシューティングと何も変わらない。おもしろいものはおもしろい。
ただ。
そこからゲームの元ネタチェックとしてプロ野球ニュースを見始めたのはバッドルートへの第一歩だった。いつのまにかスポーツを見るのが好きになってしまった。まあ、好きになるのはいいんだけど、中学に入ってからという遅咲きだったせいか、スポーツで時間がつぶれるのが勿体なくて仕方ない。ファミコンゼビウスをピコってるのが人生最古の記憶だというくらいのゲームとは違って、スポーツは日が浅くてあんまり生活になじんでないんだよな。にもかかわらず、前頭葉をなくしたかのように無我に無表情にそして無駄にスポーツをだらだらと見すぎるスポーツ三杉君のおれは心臓病で死ね。あるいは、明日起きたらスポーツに興味なくなってねえかなあ。