タクティクスオウガ『僕が死んでも誰も生き返さない、の巻』

「未練……タラ……タラ……」とばかりに死亡時にセリフをはくキャラクターたちを見ていると、死は重いものとして書かれているな、と思うが、実際は数秒後にリザレクションで生き返る。リザレクション入手以前はたしかにファイアーエムブレムのようなキャラ死亡即リセットゲームとしてのシビアさを感じながらのプレイングとなっていたが、リザレクションを手に入れてしまえばプリーストの行動ごとに仲間を生き返せるので、とりあえず突撃して死んだら後方待機のプリーストで復活の繰り返しという、ファミコンウォーズで前線の軽戦車が破壊されるごとに後方の生産拠点で軽戦車を生産しなおして突撃するがごとき人海戦術で死者を出さずにクリアできる。ファミコンウォーズのたとえは的確でない自信がマンマンだが、インテリジェントシステムズ製のゲームで統一するスマートさを取ったわけなので、みなさんレッツ容赦だ。シミュレーションというジャンルの中で対極にあると言える様なふたつゲームの間をリザレクションという魔法によってひとっとびだということを言いたいのだ。
シミュレーションやアールピージーなど、ヒットポイントという数値を持つ複数のユニット(キャラクター)を非リアルタイムで操作するゲームというものは、基本的にターンごとの最適な選択とわずかばかりの運によって死者を出さずに苦難を乗り切れるバランスが気持ち良いものだが、なかなかそううまくバランスは取られないもの。ゲームが進めば進むほど、キャラクターの成長率、レベル、ドロップアイテムや宝箱の入手率といった様々な成長要素によってプレイヤーごとの強さに差が出てきてしまうから(自由度の高さー!)、ゲームが中盤ともなると、クリアが困難になるくらいに弱すぎるプレイヤーが出てくることが予想される。そこで、救済措置として禁断の蘇生魔法が出てくる。
と、そういうものであれば仕方ないと思うんだけど、タクティクスオウガってそんなにプレイヤーごとに強さの幅が出るゲームでもなく、トレーニングでいくらでも育成可能で、リザレクション以前のバランスが良く、戦闘でキャラクターが死ぬと臨終の言葉を吐くというシステムもあるので、蘇生魔法が出てくるのは優しすぎて易しすぎるかなあと思った。最初から使えたのであれば、わざわざ気になったりもしなかったんだろうけど、途中で手に入るものだから、突然の急激な易化に驚いた。主人公よりも敵の攻撃を相対的に激しくさせてプレイヤーの興奮を保たせ、その兼ね合いで蘇生魔法を解禁なのかとも思ったけど、敵の強さはそれまで通りに線形に上昇だった。まあ、易しさに文句を言うようなやつは二十一世紀には要らないんだろうけど、タクティクスオウガは前世紀のゲーム。蘇生魔法の登場は易化効果がバツグンであった。
難しかったものが急激に簡単になったということのみを言いたいのであって、難度に関係しないほぼあらゆる部分でタクティクスオウガはとてもおもしろかった。