北斎の富嶽二十四景

三、四十ページの短編たちのセンターにどんと鎮座する百ページ超えの中篇であるし、内容も北斎など日本の文化がてんこ盛りな作品だというわけで、戸籍という紙切れにジャパニーズと記載され、日本人というレッテルを貼られているおれとしては、感想のひとつも書こうかなと、そういうわけです。
オタクのエロゲー聖地巡礼よろしく北斎富嶽二十四景の聖地巡礼をする女と、ネットの中に住まうことで世界に遍在するストーカーという恐怖の存在に昇華した男の話だった。この遍在ストーカーという概念が大笑いだったので、エーユーよりもサァーティースファークショーンな作品だった。
とはいえ、オチというかメッセージがちょっと社会派でこつぶっこだったので、読後感が困った感じではある。

80年代SF傑作選〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

80年代SF傑作選〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)