ロスプラカルド

「睡眠に落ーちる場ー所をー家だと呼ぶのならばー大学こそまさに家かなーっぷぁーっと」
ぬぬん。「何をひとりで言ってるんだい」
「おお、おまえか。いやね、朝までサンロクマルをやりこんでいるってことさ。最近は主にカルドセプトサーガとロストプラネットスペシャルオンラインデモだね。それで大学ではずっと寝てんだよ。んなはは……zzz」
そう言ってわたしは歩きながら眠りに落ちていったのだった。野生のあき竹城のサヴィーナ! と鳴く声が遠くなっていく。
「おーい、起きろ」
は。
「ここは大学ではないよ。こんなところで歩きながら寝たら、大学ではなくてこんなところが家ということになる。ごくつぶしがホームレスになってしまうぞ」
「ああすまん。てえおい、ごくつぶしだのホームレスだのと失礼だな。あのな、おれだってちったあ考えてることがあんだよ。サンロクマルは金になるってね」
「はっ、日本じゃマイナーなただのゲーム機じゃないか。そんなものが金になるなんてレティクル・ザ・妄想もいいところ。またバカなアイディアを言い出す気だろう」
「まあまあ聞きなよ。まず、サンロクマルにゃ実績ってえシステムがあってな、やり込み要素やらプレイ時間やら、それぞれのゲームをやった具合が、実績ポイントって形でプレイヤーに関連付けて記録されんだ。これが心をくすぐる代物で、サンロクマルのゲームとプレイヤーをすべて包括したスコアアタックってえ按配なんで、まあスケールが違う。実績を集めること自体が巨大なゲームになってる。んで、これにハマっちまうと、つまんねえゲームでも実績を解除したいっちうモチベーションで遊び続けたりもしてなあ。止められないんだよ。人によっちゃあ、実績を集めるためだけに片っ端からゲームをやってるなんて話もあるくらいだ」
「へえ、それがいったいぜんたいどうしたんだい?」
「ん、おまえこそいったいぜんたいどうしたんだい? とつぜん韻を踏んだりして」
「偶然だよ」
「そうかい。まあええと、要するに実績を集めたい人がいるってえ話さ。そこでおれは考えた。その人からパスワードとゲーマータグを教えてもらってな、おれが変わりに実績を解除してやんだよ。まあ、一ポイント十円くらいでいいだろな。ひとつのゲームは全部で千ポイントまであるから、ばっかみてえに難しいやつぁ無理としても、なんとか六、七百ポイントくらい解除すりゃ、ゲーム一本分は儲かる。そんで新しいゲームを買って、また解除すんのさ。依頼者は金を払って実績をもらえて、おれはただでゲームを遊び尽くせるって寸法さ」
「呆れた。ただでゲームをいっぱいしたいだけじゃないか。それならデバッガーにでもなればいいさ」
「なにいってんだ。バグと実績をいっしょにすんじゃあねえよ。バグを見っけるためにだらだらルーチンワークを繰り返すんと、作者さんが用意してくれた実績の条件を試行錯誤しながらクリアすんのとじゃあ、機械と人間くらい違あわ」
「ゲームをやりこむのも自分じゃできないのかい。やりこませ要素にたよってばっかりで。そうやってなんでも人任せだからごくつぶしなんて言われるんだよ。それに機械と人間と言うけれど、ギブスンはそれらは同じものだって言ってたよ。バグも実績も同じものということかねえ」
「くだらねえこと言ってんじゃねえよ。用意した遊びに誘導するののどこがいけねえってんだ。なんでも人任せっていうがね、さっきの横断歩道のボタンを押したのは誰だと思ってんだ。ありゃおれが自発的に急いで押してなきゃ、青にはならないタイミングだったぞ。それにギブスン……」
「ちょっといいですかな」
日本語の上手い英国紳士だ。
「え、はい」
「いまの話を盗み聞きしとったのですが、どうでしょう、わたしの実績を解除してくれませんかな」
「わかりました。請け負いましょう」
それからというもの、こち亀のようにとんとん拍子で実績解除の仕事が舞い込んだ。しかしこち亀のようにすぐさま破綻した。
七十年後、死んだ。自伝終わり。

ロストプラネットエクストリームコンディションスペシャルオンラインデモ

操作キャラの後ろ斜め上視点での 3D アクション。同じカプコンで言えば、バイオハザードみたいなやつです。それで、対戦をする。
これぞ日本ゲーという感じ。欧米にはできない。あいつらが作ると、バギーと戦車とスナイパーライフルとカバーシステムが絶対出てくる。決まってるんだ。でもロスプラにはそんなものはない。僕らは生身で向かい合うのさ。ズゴゴゴドカーン。クロスする銃弾。ロケットランチャーのカウンター。君と僕とのグレネード心中。そして死んだと思ったら、同じ場所で復活してまたすぐグレネード心中。いやあバカゲーだ。スラップスティックだ。爽快だ。おれはこれを買うぞ。ふざけたゲームなので評価の割れてる感じのするロスプラだが、おれにはちょうど良い。おれに最適化されている。爆笑した。
「爆笑というのは複数人が笑うことなのだからその使い方は不適でござるよ、まったく最近の若いもんは日本語を正しく使うこともできないのでござるか」
いや確かに爆笑はひとり笑いに使うのは正しくないけど、実はおれには複数の首があるので問題ないよ。複数の首が笑ったんだよ。ゼイフォード・ビーブルブロックスとか九十九十九みたいなもん(九十九十九に複数の首があることのネタバレになっているが、それはおれがされても気にならない程度のネタバレなのでバラすこともまた気にならないのだ)。

カルドセプトサーガ

エキスパンション、セカンド、セカンドエキスパンションとずっと同じシステムのゲームをやってきてるわけなので、感想を書くとすれば新たに加わった要素、バグとテンポの遅さについてになるのだろうか。個人的にはあんまり気になってないんだけどな。まあでも、プロデューサーが発売前にテンポアップがテーマですとか言ってやがったのはむかつくな。慈善でやってるわけじゃないので欠点を隠すのだったらなんとも思わないけど、さすがに平然と事実と正反対の嘘をつかれちゃあ憎んじゃうよ。『テンポの良いカルドセプトサーガ』なんてよー、『腕っぷしの弱いアームストロング』とか『黒人のホワイトさん』くらい違和感あるフレーズだぜまったく。HAHAHA!