リトルバスターズ!

日常の可笑しさが筋肉という単純なネタの繰り返しに大きく寄っていたり、いわゆる個別ルートが蛇足だと感じたりといったことで、ゲームを通して楽しんでいた時間の割合で言えば、AIRCLANNAD などよりだいぶん少なくなっているんだけど、そのぶん、奇跡的な現象は成り立ちと目的がはっきりしていて腑に落ちるし、一対一ではなくて五人の家族風コミュニティのなかでの成長という複雑なテーマになっているし、完全なハッピーエンドだしで、清々しく終われるようになっていた。これは気兼ねなくおもしろかったと表明できる。日常や個別ルートなどにしても、すべてが伏線となって収斂するので、滂沱の涙が流れた終盤の数十分で、細かい不満は水に流された。
対して思ったのが、僕たちの好きな星空めておの場合は、すべての設定や人物の思惑が一点に収斂する壮観なクライマックスはもたらされないので、そのあたりが人気ってものにイマイチ縁のなかった理由の一因なのかもしれないなあと思った。SF、ファンタジー、現実が垣根なく混ざり合った世界設定で、各々所属するコミュニティでの主人公格の風格と存在感を持った者たちが大挙登場するので、大抵の場面で退屈さとはまったく無縁なんだけど、数十時間のプレイ時間がパッケージングされて提供されるエロゲーでは、そういった部分部分の感想をクチコむタイミングがあまりない。
これが例えばアニメみたいに断片的に毎週放送されるものだったら、極端な例だけど、最終回で声優がビューティフルドリーマーの歌を唄ったり、主人公が椅子に座って精神世界で語って全部解決したりして、否定的に思う人が多くなったところで、それまでは20分強の放送ごとに一週間インターバルがあったので、断片ごとの楽しさが何度も何度もクチコまれて作品はすでに大人気大成功やっほー。
というわけなので、星空めておも断片的にシナリオを提供という形がぴったりだろうと思った。経験してないので知らないけど、PBM 時代とかはわりとそんな感じかもしれない。

の人気マンガのような魅力を持ちながら、全部一括で提供していたのがエロゲー時代、という総括。初めから最終回まで同時にもたらされる二十世紀少年。あと、ファウストで連載とかはありえたと思うんだけど、ファウストは雑誌自体がもうなさげよねー。

リトルバスターズ! 通常版

リトルバスターズ! 通常版