Grand Theft Auto 4

「車があるよ!」
「中の人を引きずり出して強奪してみよう」
→中の人はドアの取っ手に必死でしがみついたが、車に引きずられて死んだ。
 
「歩道に人がたくさん歩いているよ!」
「猛スピードの車で弾き飛ばしてみよう」
→マネキンのようにぽーんと吹っ飛んでみんな死んだ。
 
「駅のホームで電車を待っている人がいるよ!」
「タイミングよく突き落としてみよう」
→電車に轢かれて死んだ。人身事故。いや事件。
 
「公園に滑り台があるよ!」
「滑ってみよう」
→滑れなかった。傾いた金属の板をスニーカーで歩くのみ。
 
というように、目に見えるものに思い浮かぶまま接触してみてわかったのは、ニコはギャングだから人々を省みることなく殺すけれど、滑り台で遊んだりはしない人間だっていうことだった。
現実のおれなんてまったく逆で、滑り台で滑るくらいしかできないのに。
ディスプレイに映るのは街すべてだけど、そのなかでできることはニコが行いうるギャング的所業のみなんだね。リバティシティがどんなに作りこまれて見えても、それは舞台装置にすぎなくて、このゲームはあくまでニコの物語。ニコ基準。ギャング基準。
だからおれも、悪そうな奴はだいたいスクリューユー!!! っていう心がけで遊べばいいわけであって、武田鉄矢の少年期など口ずさみながら夕暮れの滑り台にひとり体を預けようなんて思っちゃいけないわけですね。それはニコじゃないから、おれだから。
あとあと、GTA4は酒を飲むとボヤけエフェクトがかかったうえに操作もままならなくなることで視覚と平衡感覚の障害を表現するので、すごく酔ったような雰囲気は出てるんだけど、その強烈な画面の揺れによってプレイヤーたるおれまで即座に酔うんですよね! ニコには酔いの快感と不快感の両方があるだろうけど、おれには画面効果で酔った不快感のみゲロよ。なんかプレイヤー的なメリットはないゲロか!