アリス・イン・ワンダーランド
3Dについての感想なんだけど、手前に向かって固いものがものすごいスピードで飛んでくるシーンが何回もあって怖かった。やめて。やめて。怖いから。びっくりするから、やめ、やめて。遊園地のアトラクション、または Project Natal。遊びという枠組みで、避けゲーとしてならば楽しいかもしれない。
さてこの映画、アリスはもうこどもじゃなくて19歳だし、序盤に出てきた予言の書に書かれている通りのことが起こる(アリスがラスボスをたおすであろう)し、みんな戦争という大きな流れの中にいるし、暴力は原作の戯画的な印象もなくただ残酷に感じるし、ワンダーランドは私を漫然と嫌な気分にさせるばかりで、とくべつなことはひとつも起こらなかった。ワンダーランドでない場所と同じように退屈だった。13年前のワンダーランドはどこを切り取っても忘れられないとくべつな瞬間で、家に帰ってからもずっと夢に見たものだけれど、今回の冒険のことは明日になればすべて忘れてしまいそう。これから先、きっと夢に見ることもないのだろう。大人になるための筋書きの定められた通過儀礼だったのか。
そんな、別れに未練の残らないワンダーランドだったこともあり、見終わったあとは、映画の最後に描かれていた独り立ちしたアリスの未来にずっと想いを馳せていた。ワンダーランドをいつまでも夢に見てるんじゃなくて、かつてワンダーランドに行き、今はバリバリ現実貿易ウーマン。単著も売れそうだねっ。そういう力強いアリスのビジョンはいいものだと思った。
- 作者: ルイスキャロル,Lewis Carroll,柳瀬尚紀
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1987/12/01
- メディア: 文庫
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