ひとりっ子(Singleton)/ グレッグ・イーガン

宇宙消失のときにも似たようなことを思ったんだけど、「おれはパラレル自分を殺しながら生きているんだ」みたいな、多世界解釈を地で行って、しかもほかの分岐の存在に対して罪悪感や違和感を覚えるような感覚にはおれは共感できないんだよなあ。だから、クァスプという決定論的な機械を生み出したいという欲求にはついていけない。まあ、共感なんてできなくても面白いからいいけどね。一方、これをイーガンらしいアイデンティティものとして捉えてみても、日本は昔から人型ロボットが愛されている国だから、アダイ(自律発展型AI)なんてものはありふれた設定に見えてしまうしなあ。
だがしかし、萌えという部分においては、ヘレンはイーガン史上最高。特に最後のページのヘレンは素晴らしいな。分岐間移動の実現に自信をのぞかせるヘレンの笑みには萌えまくりますよ!?

追記

なんかあら探しみたいな感想になっちゃったけど、これ、超面白いです。万物理論よりも全然。ひとりっ子だけのために890円払ったと考えても心から満足できるくらいです。

追記2

というか、ひとりっ子の感想書いてる人が全然いない。google:ひとりっ子 イーガンで21件って、少なっ! 万物理論はありえないくらい読まれまくって、感想も書かれまくってたのになあ。

S-Fマガジン 2005年 04月号

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