アスラ

阿修羅ガール (新潮文庫)

阿修羅ガール (新潮文庫)

バールのようなもので殴られて瀕死のラブ子の魂がフラフラしている中で、三門の森みたいなですます文体の世界に行っちゃうのもおもしろいにはおもしろいんだけど、それが60ページも続かれると、さすがにダレるのです。舞城なのにですます調、ダレるのです。
一番おもしろかったのは、辺見えみりの「いいよいいよ全然」という何気ないひと言。リアルに辺見えみりらしいセリフだったので、思わず辺見えみりの表情までもが想像されてしまってくすくす笑いが止まらない。芸能人ネタっていうのは、言うなれば万人向けの内輪ネタだから、うまく使えばかなりおもしろいわけですよね。ルーとシーは、ともに死ぬ殿とか。
グルグル魔人が死体でアシュラマンを作ろうとしていたり、ハデブラ村の西の森に阿修羅的な怪物がいたり。で、タイトルが阿修羅ガールなので、主人公のラブ子にも阿修羅のような要素があるかと思ったけどわからん、そんなものないっぽい。
まあいいや、せっかくのみどりの日なんで、阿修羅のことなんて考えてないで昭和天皇にでも思いを馳せてよう。