床下の小人たち

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

人間の家に寄生して、家具や食べ物などを『借り』て生活している借り暮らしという小人の家族の話で、人間に見つかったら駆除されるかもしれないのでとてもヤベーのですが、不運にもその家に住む男の子に見られてしまってさあどうしよう、というのがあらすじ。
小人たちの日常に生活感があっておもしろく、ひとことで言えばネズミの擬人化小説ってな感じでした。いや、あまりそれは適当な例えではない。小人たちは『借り』た物を使って、極めて人間的な生活をしているから。人間の家に寄生して食べ物を勝手に食べるあたりがネズミ的であるに過ぎず、繰り返すが、生活様式は極めて人間的なのだ。借り暮らしの名誉のためにも、これははっきり強調すべき点である。彼らは小さい人間である。ネズミなどという下等生物とはまったく異なる生物である。彼らは意識を持ち、時には好奇心から『借り』に行くのだ。ネズミのように食欲を満たすためにチーズを取りに行った挙げ句にトムに追っかけまわされるような奴とは違うのだ。ああ、また不適当な例えだ。ジェリーは普通のネズミではない。ジェリーは意識を持っている。ジェリーはトムとの追いかけっこを楽しむ知能を持っている超ネズミだ。ミッキー、ピカチュウと並ぶ世界三大ネズミの一匹だ。ああ不適当な例えばっかりだ。間違ってばっかりだ。人生は間違うところだ。間違って間違って、成長していけばいい。みつを。