不摂生

不摂生であるがゆえに不健康な私は、日々つんぼになってしまうのではないかと怯えながら生きています。なんとなく右側だけから音が聞こえているような気がするので、右耳を完全にふさいでから左手で指パッチンを行い、パチという音が左耳で聞こえていることに安堵するなどは、日常によくある微笑ましいヒトコマです。そもそもおれの耳への不安は小学生のころのできごとに端を発するわけで、若輩者らしいアホ面で小生が耳クソほじくりに全神経を集中させていたところ、いつのまにか僕の右手の小指がケチャップまみれになってたんですね。わーいけちゃっぷだよーかーちゃーん! あんた! 血よ、それは血なのよ! ということで、いつのまにか僕の右手の小指が血まみれになってたんですね。で、それ以来、なんか右耳だけ耳毛が濃いというアンバランスライフが始まりました。耳クソほじくりを耳毛程度で防げるとでも思っているのでしょうか耳は。まさにのれんに腕押しですよ! わしには耳の考えていることがわからない。そんなことをしても聴力をわずかに低下させるだけだというのに。いやしかし、耳の考える事もわからないでもないんだ。我々人間だってドラクエの終盤で守備力が4しかあがらない兜を買ったりする。ドラクエの被ダメージはほぼ(攻撃力/2)-(守備力/4)なのでそんなことをしても、1ポイントしかダメージを軽減できない。80ポイントを79ポイントにするために13500Gくらい払う費用対ノー効果な愚か者が耳の愚行をばかになどできないのさ。
そしてそんな小学生時代から数年経ったころには、伸びに伸びた右耳の毛はもじゃもじゃと丸まって直径1cmほどのアフロヘアーとなって完全に耳をふさぎました。ほとんど何も聴こえなくなってきたので、そろそろ院に行かなければなあと考え始めたころ、その耳アフロから自意識が萌芽しまして、周りの人間による僕の話が気になって良く聴こえるようになり、これぞまさにつんぼの早耳であると確信しました。なるほどなるほどなるほどな! と。