流れよわが涙、と警官は言った

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)

超人気テレビタレントにして遺伝子操作超人『スイックス』であるジェイスン・タヴァナー。彼がある朝目覚めたら、誰も彼のことを知らず、出生記録もIDも存在しないというアンビリーバボーで悲惨な状況になっていた。ジェイスン・タヴァナーという存在は世界から消え去り、もはや彼の存在を知っているのは彼自身だけ。彼はジェイスン・タヴァナーという実存を取り返すために、このおかしな世界を奔走する。以上あらすじ。
狂った現実にぶっこまれながらも元の現実に戻るべく画策し奔走するタヴァナーとか、ヤク中で物語のキーパーソンであるアリスとか、登場人物は印象的でおもしろかったんだけど、終盤で明かされる『アリスが薬物を乱用していたことが原因でタヴァナーの現実がぶっ壊れた』という事実にちょっと気持ちが乗り切れなかった。ディックらしいっていえばそれまでなのかもしれないけど。っていうか、これとアンドロイド〜しか読んでないけどディックらしさのイメージはすでにおれのなかで固まっているあたり、ディックという作家は独特なんだねえと思った。
あと、はてなでは画像が出てないんだけど、表紙が面長。