みなさん、まず用語解説を読んでから本編を読みましょう。ディアスポラからのお願い、だよ(はぁと
- 作者: グレッグ・イーガン,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/09/22
- メディア: 文庫
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40ページまででは、仮想空間のなかで、<創出>というプログラムによって人間レベルの知性を持った意識が一から作りだされ、育っていく過程が淡々と描かれている。整然としたデータの波が虚無に放たれ、そこに数億もの別のデータの波が複雑に重ねあわせされていき、その合成波はいつしか脳の皺のように複雑な模様を作り、知性の赤子が顔を出す。おぎゃおぎゃあ。バブーバブー。ハーイハーイ。イクラちゃん!! その知性はデータベースにアクセスしたり人と会ったり(仮想空間でね)するなかで、さも人間の脳がニューロン同士を結合するように、得た知識を関連付けていく。例えば、初めはイクラちゃんの絵とイクラちゃんという名前を関連づけるだけだったのが、タイコさんやノリスケさんとの関連、ハーイハーイしか喋れないという設定への関連などを覚えていく。そして彼は、イクラちゃんの絵を見るだけで、イクラちゃんという名前だけではなく、ハーイハーイしか喋れないという設定やタイコさんのことなども同時に想起するようになった。すなわち、予想だ。そんな感じで、今のところ彼は人間で言うと2才くらいの感じに成長した。イクラちゃんくらいだろうか。名前はまだない。自分という存在を意識しはじめた。実にイーガン。