目明し編

ここにきてついにひぐらしにはまったかなあ。
いや、今までの四編もおもしろかったんですけどね。ただ、個人的な感覚で言うと、好きなものを提示してもらったという印象がなくて、シーンごとにビビったり感動したりはするものの、全体を通して高揚感を覚えているということはなく、また好きなキャラクターというのもいなかったので、楽しいながらも漫然と追っかけているという感じ。
そう、人生のように……。
だから、ひぐらしにそれほど熱を上げることもなく、さらには暇潰し編が外伝だった事で、自分の中でひと段落ついた気になっていて、目明し編は今までほったらかし。
しかし、もうすぐ発売の祭囃し編をリアルタイムでやるために、そろそろ目明し編くらいはやっとかないとな、と半ば義務感のようなものを感じて重い腰(57キロ)をあげたらですね、目明し編は実に途轍もない傑作でした。
中盤の足音ペタペタ悟史くんのあたりから僕はもう園崎姉妹の刺青のない方×悟史のトリコロールクライシス。特に、園崎姉妹の刺青のない方さんは最高だった。金に困って銀行強盗をするリストラされた気弱なおっさんみたいでかわいい。
それにしても、ひとつ多い足跡っていう、リアルルームの入り口あたりに不吉な気配を思わず感じて臨戦態勢になってキョロキョロと周りを見回してしまうような冷や汗ホラーの小道具だったものが、こんなに涙の雨を降らせるトリガーになるなんてね。じゃじゃ丸ーピッコローポーロリー(流れる涙のオノマトペ)だった。僕の目元は火あぶりになった蝋人形の目元のようだった。
シナリオももちろんだけどBGMもかなりいい。鬼隠し編だと、例えば悲しいシーンには、「現在は悲しいシーンです」と直接ナレーションを聞いているかのような原色サウンドが流れていたのが、目明し編ともなると、自然と悲しい気持ちになるような音楽になっていてチョベリベリ最高だった。ヒッピハッピシェイクだった。シューシュー星が流れてくだった。あしたからハレルヤだった。ふたりならヤレルヤだった。
そんなこんなで、ひぐらしをやる理由は、内から湧き出る直接的欲求のみになり、外的要因は淘汰されたという感じです。はい。