タイタンの妖女
金持ちが麻薬に溺れて荒唐無稽な幻覚や妄想を楽しんでるかのような話だなこりゃあいい身分だよまったく、と思って読んでたら、見透かしたかのように
その劇的な一瞬まで、コンスタントはニューポートでの冒険を、麻薬でひきおこされた幻覚なみにしか受け取っていなかった。
(50ページ)
なんて文が出てきた。
ヤク中の幻覚という現実離れした雰囲気を、意図的にそれらしく書ききっている凄さもさることながら、そのヤク中らしさという描写の意図を、自分がそのまんま受け取っていたことに、なんかすっきりした。目隠しでジグソーパズルをかき回してたらいつのまにか絵が完成していたときの感覚と例えたいところですけど、目隠ししてパズルをやったことはありません。あとは、ヴォネガットの引いたレールをまっすぐ進んだだけなので頭が楽であり、楽なのは楽しい。なぜなら、漢字が同じだからさー。とかそんな本末転倒な理由をでっちあげたりね。
- 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/10
- メディア: 文庫
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