ほとんど無害

軽妙なコメディなので読んでいて常に可笑しいってのはいつものことなんだけど、これは、それと同時に物悲しい雰囲気にも包まれているという異色作。みんながみんな知人や記憶を失ったり、並行世界の似非その人が出てきたりで、なんか全員から滲み出る孤独感がすごい。そしてカタストロフィ。
と、こういう印象はヴォネガットっぽいのひとことで済むらしいんだけど、おれってばタイタンの妖女をちょっと前に読んだばかりって程度だから、そこのところはよく解からないのだよね。まあ、だからヴォネガット好きにはおすすめって言えるんだと思う。
個人的なおもしろいつまらないで言えば、最高傑作。ただでさえシリーズ中で一番おもしろかったのに、遺作は1.5倍の法則も加わって、さらに大好きに。どうかおれの棺桶に。

ほとんど無害 (河出文庫)

ほとんど無害 (河出文庫)