柳沢エルボー日記

しずと名も顔もない友人数名といっしょに野球を見に行ったその帰り道、なにか下らない話の拍子にしずの肩に手を回すと、しずはブルルと体を震わせて生理的嫌悪感をあらわにし、キィヤーとイエロー声をあげながらおれ(イエロー人種)を吹っ飛ばした。アスファルトにひじをしたたかに打ち付けてうずくまるおれには、走り去るしずを呆然と見つめることしかできなかった。数日後、しずと再開した。平静を装おうと努力するが、やはり気まずさは拭えず、視線を泳がせながら「……よ、よう」などと声をかけるのみ。一方のしずは思いつめた表情をしてこちらを見つめている。空気が重い。とつぜんガタンと椅子の倒れる音が聞こえた。沈黙を破るようにしずがグイと身を乗り出していた。「……あの、わたしな、お父さんに虐待されとってん。ウチらだけの秘密やで」おれは驚いた。知らなくてごめん。肩に手を回してごめん。なかなかおもしろく妙に納得できる裏設定だ。と思った。ちなみに、ウチらとは、しずと名も顔もない友人たちとおれからなるグループのことだ。
この辺で目が覚めた。最後の説明的な独白は、起きる直前に夢が現実に浸食され始めている様子を表している。しずは南海キャンディーズの片割れだった。数日前の夢だけど、覚えていたので日記化という次第。
ベッドの角にひじを打ったのがきっかけとなって、そのつじつまあわせとして夢全体が瞬時に創作されたという解釈を考えた。現実が夢に影響を与えるのは起きる直前だけじゃないんだぜ。ちなみに、夢は時間に捉われないので、夢の中にひじに衝撃が走る以前も以後もあることは問題ないし、夢がたいがい不条理なのは、即興だから仕方ない。
で、この夢のきっかけとなったと思われる現実のひじへの衝撃を、ハルヒ世界におけるハルヒの存在と例えようか、万物理論の基石と例えようかで迷った。ラノベ対SFという新旧オタク小説の対決の縮図が頭の中に! と思った。おれは基石と例えることになりました。どうもどうも。
閑話休題。この夢のほかにも、胸に両腕を乗っけて寝てると何かに押しつぶされる夢を見るとか、寝小便をすると海に入ってる夢をみるとか、秋山仁の声を聞くと秋山仁が出てくる夢をみる(参考:http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/lu-and-cy/20060902#p2)とか、童貞の淫夢は女性器がモザイクで悲しいねとか、そういう話も含めて、夢というのはすべて、睡眠中の自分におこった出来事がきっかけとなって、その出来事を内包するストーリーとして即興で作られているのだ、とまで考えるとちょっと楽しい。
でもそう考えると、現実でも射精するほどの快感の淫夢という好印象が、なんか誤動作で勝手に出ちゃったのでとりあえず夢でセックスをでっちあげ、というやっつけストーリーだと解釈できてしまい、夢なのに夢がないなあ。
まあそういったわけで、夢を見たときにそのきっかけを無理やり考えてみるのもおもしろそうだねっ、というのが今回のまとめ。いい夢見ろよ! あばよ!