クラナド 18話『逆転の秘策』

もし原作を前提としてシナリオの取捨選択を語れば、「風子とことみルートはシナリオの人気が高くて恋愛なしだからやっといたけど、杏と諒と智代ルートはシナリオ人気が高くなくて恋愛もありだからスルー。渚(メインヒロイン)と岡崎(主人公)にいい感じで純情な青春タペストリを織り成させるためにね」ということが思い浮かぶんだけど、そう捉えるべきじゃないんだよね。複数のルートがある原作の再現をするんじゃなくて、一本道であるアニメに最適化された話になっていたから。すごくおもしろかったのよ。
話は変わるけど、「のよ」って語尾を多用してみて気づいたのが、タイプミスするとすぐ「にょ」に化けるってこと。推敲マジ必須。
話は戻って、原作は、選択肢の存在によって当たり前のように物語が並列しているゲームだから、あるルートではほかのルートでの問題とか恋愛とかは徹底的にスルーされて一切解決されない。それにはそれ用のルートがあるからってことで。だから、そんな原作のシナリオをそのままなぞる形で渚ルートに入ってしまうと、アニメでは杏と諒と智代が宙ぶらりんになるところだったんですよ。彼女たちの問題は一切解決されないし、かといって一本道なアニメでは彼女たちのルートも存在しないから。
でもアニメ版18話の最後の5分、見事にすべてを解決してるじゃないですか。岡崎(ゲームではプレイヤー)が渚を選択したという描写は一切なくて、自然と仲睦まじくなっている岡崎と渚とを遠巻きに見ている杏と諒と智代が「こいつらできあがってるじゃん……」と気づく、承認するっていう描写なんですね。すごい! こいつらの恋がこいつら自身の心の中で明確に破れるという形で解決しているんですよ。このシーンは岡崎(プレイヤー)視点じゃないから、ほかのルートに入りえた選択肢なんてゲームっぽい想像もさせない。アニメ版クラナド唯一の帰結としての岡崎渚カッポー。これはゲームじゃないんだって叫び。フラグなんてどこにもないし選択肢だってない。進んだルートはいつだってひとつしかないよ! ホー! いままで半ば自虐的に「Keyのゲームをそのまま再現する京アニが大好きな原作信者」を自覚してきたけど、そういう卑屈さからも開放されたぜ。
あと、最後の諒の顔はなんなんだろうな。観鈴ちんの号泣、ハルヒの熱唱には、能面的なアニメフェイスが突如として頬の筋肉が存在してそうな急激な表情の変化をみせたことに反射的に爆笑した後、一拍置いて、まあこのキャラクターはこういうときこういう顔になるかもなーと納得したんだけど、諒の場合は、内向的な高校三年生の学級委員長が人前で顔も隠さず涙もこらえず顔面をぐちゃぐちゃにして「うえーん」て泣くってのに全然納得できないので、最初の反射的な爆笑だけが残って、ただの顔芸っていう印象になっている。ザブングルフォロワーが「(失恋して)くやしいです!」って言ってるみたい。まあそれを見ていたおれも泣いてたところに爆笑が重なったことで顔芸状態になってたんだけどさ。