Prisoner Of Love

かつてウタピカだったわたし。紀里谷氏と結婚してキリピカになったけれど、名前がしっくりこなかったから別れた。やっぱりわたしはウタピカなんだと思った。
結婚願望はまだ持ってる。今度の結婚相手は、わたしがウタピカであり続けるために苗字にウタが入ってる人がいいなーと思ってるんだけど、そんな苗字ウチの家族以外に聞いたことがないんだよね。歌丸師匠はどうだろうと思ったけど、歌丸っていうのは名前で、苗字は桂だからウタピカはキープできない。カツピカはいやだよ。ていうか桂だって本名じゃないから、なにピカになるかわからない不安が残る。家帰ったらウィキペディアで調べよう。そもそも歌丸師匠との結婚っていうのもちょっと抵抗がある……いや、落語家としては尊敬してるんだけど、結婚相手としては年齢差とかあるしちょっと想像できないっていう意味でね。
なんてことをついぐるぐる考えてしまってレコーディングにも集中できない日々が続いていた。
そんなある日、気分転換に真くんとスタジオ近くの居酒屋で飲んでいると、彼女が興奮した様子でカウンター横のテレビを指差した。『ドリーム☆アゲイン』という反町隆史さん主演の野球ドラマの第一話が放映されているらしい。真くんスポーツ好きだもんなーと思いながらドラマに目をやると、実際の野球の試合に反町さんが合成丸出しの浮き具合で重ねられている安っぽいドラマだったのでウッと思ったけど、隣を見ると真くんは「ガツーンといけー!!」と楽しそうだったからまあいいや。そういえば紀里谷氏はこういう映像処理が巧かったなあなんて昔を思い出したりもして、もうドラマ自体への興味はほとんど失いかけていたとき、大写しになった球場のバックスクリーンに目が釘付けになった。倉義和*1という名前が書かれているネームプレートがあった。電撃が走った。くらよしかず。うただひかる。くらひかる。クラピカ。このひとが運命の人なんだと思った。寝ても覚めても少年マンガ夢見てばっかなわたしが、クラピカになれるんだ! この人と結婚しよう!
クラピカになることを確信したその瞬間、ウタピカの人差し指からは光り輝く鎖が勢いよく飛び出した。それは居酒屋の屋根をすり抜け、広島で素振りをしていた倉義和の元まで瞬時に到達したかと思うと、彼の気づく間もなく耳から脳へと侵入し、ウタピカへの絶対の愛を植えつけていた。
翌日、ふたりは結婚していた。
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CDTVをご覧の皆様こんばんは。クラピカです。今回の新曲、ついにわたしの人差し指の能力が明らかになります。それではどうぞ、クラピカで『愛を繋ぐ人差し指の鎖<Prisoner Of Love>』」

Prisoner Of Love(CD+DVD)

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*1:広島東洋カープのキャッチャー。第一話に端役で出演していました。