ディスコ探偵水曜日 第三部『解決と○ん○ん』第一回〜第四回

ズギャギャギャーン! 三ヶ月以上も前からひっそりと連載を開始していたなんて、知らなかった。知らなかったが、知ったからには、読むぞ読んだぞおもしろかったぞ。というか第一部の時から最高なので、いいから早く出版をしろよと思ってるぞ。ハリアプ!
ある名探偵は推理が間違っていたから殺され、その推理を包含した次の名探偵のより正しそうな推理もまた間違っていたからそいつも殺され、その推理も包含したさらに正しそうな次の名探偵の推理もやはり間違っていたからそいつもまた殺され、その推理も包含したもっと正しそうな次の名探偵の推理ももちろん間違っていたからもちろん殺される。この繰り返しによって、見立てやらトリックやら動機やらがありえないくらい複雑になり、神話の見立てだのホロスコープだの劇団員の偶然の行動だの死後の世界だの魂だのと、その過剰な複雑さは滑稽に思えてくるほどになる。さらには、名探偵の数だけ推理があって、その推理ごとに名探偵が死ぬというような不思議な文脈までいつしか生まれていて、名探偵が名探偵らしく正しげな推理をしてるのにそこには間違いと死が見えている。どんな突拍子のない推理でも正しそうに語られ、だがすぐに殺される。間違っていることが保障されている正しさだから、もはやなんでもありの世界なのだ。薄汚れた外套をまとった名探偵とかが「魔王の仕業じゃ」と言っても、薄汚れた白衣をまとった名探偵とかが「量子の仕業ですね」と言っても、それを事件の正しげな解答として受け入れられそうな世界。すごすぎるぜ。……とか思っているところにもたらされる「文脈を読みすぎ」というメッセージ。こんな事件はいいから、おれはおれのやるべきことをしようぜ。ヘイ! マザーファッカー! そんな話、いまのところは。
あと、阿修羅ガールでおなじみのオタキャラ桜月淡雪(さくらづきたんせつ)が登場して、オタっぽい熱さでトンデモっぽい持論を存分に語り散らしていたのがおもしろかった。でもそれはトンデモじゃない。我思う故に我あり。強く思えば現実になるのだ。桜月淡雪はオタの妄想能力みたいなのを現実に行使して、大活躍だった。