Self-Reference ENGINE

SFマガジンから個人ブロガーまでが、ひたすら著名SF作家の名を挙げ、本書がそれらの長所の合わさった超傑作であるかのように絶賛していることについて、首が折れるのも厭わないほどの勢いで首肯。すごくおもしろかった。
内容について書いてしまうのがもったいないような気持ちで居るので、できる限り中身については語らずに、表層的な部分のみを使って感想を書きます。まさしく本の表層である裏表紙から、神林長平の推薦文を使って。

円城塔は本書でもって、かのオイラーの等式を文芸で表現してやろうと企画したのではなかろうかと想像する。出自の異なる互いに無関係な二つの無理数(永遠に続く感触のある物語群)を虚数空間(小説空間)に放り込み、ある操作をしてそこに1を足すと(メタレベルでもって全体を構成すると)、0になる(虚無が、人生には深遠な意味などない、が導かれる)。人生の価値は、その中にあるという、その充実しためっぽう面白い過程の中にあるという、これはそういう小説だ。読めば、その超絶技巧がわかる。──神林長平

この推薦文はちょっとおかしなアプローチで本書を説明している。
この推薦文を読んでおれが感じ、そして多くの人間が感じるだろうと期待することは何か。(心持ち目を丸めた上で)「なに言ってんだオメエ?」というツッコミ的な感情だ。そしておれは、推薦文とそのツッコミ的な感情を組み合わせたもの、すなわち推薦文を読んだときのおれやあなたみたいなもんこそが、そう、本書であると考えている。生真面目に論理的っぽく作られたものに対して、ポカーンとする。そんな笑っちゃうしかないオチのような状況というかお話というか、そんなもので終始、本書は出来ている。SFらしいの論理や小道具やらを題材にしながら。
という感想はどうだろうか。「なに言ってんだオメエ?」という感じだろうか。
まあとにかく、最高におもしろかったです。それだけで十分だけど、それだけじゃエントリーにはならんのだ。

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)