空にふれた少女(キリンヤガ所収)

そんな真の『魔法をかけて!』は『空にふれた少女』のカマリにも通じるものがある。キリンヤガ住民としてはキクユ族っぽくなければいけないけれど、空に触れてしまったらもう空を望まずにはいられないカマリ。
いや別に特筆するほど似ているわけじゃないんだけど、アイマスを遊んだ時期とキリンヤガを読んだ時期が近いので思わず関連付けてしまった。今が2000年か2005年なら観鈴ちんと関連付いただろうし、今が紀元前ならイカロスと関連付いただろうなあ。そんなもんだよね。
で、『空にふれた少女』なんだけど、科学技術の発展した時代を舞台とししながら、傲慢な神の存在や理にかなっていない社会のルールなどの原始的な世界観が存在し、その世界の外側を望む好奇心と知性にあふれる少女が出現し、悲壮なまでに独りで邁進してついには科学的偉業を成し遂げるも、さいごには無力感や喪失感の漂う結末を迎える、っていう話がたった40ページくらいに収まってるっていう、すごいぜレズニックと思う短編。
カマリと対立するコリバにだってキリンヤガ社会的な正しさがあるっていう心が引き裂かれるような絶妙な両義性もまた良くて、カマリはすごく魅力的だけど、それさえもまたひとつの側面でしかない。カマリ好き! だけでは済ませられない。

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)

キリンヤガ (ハヤカワ文庫SF)