エンダーのゲーム

500ページ以上読んでおいて感想といえば「ピーター悪いなあ。ヴァレンタインかわいいなあ」だけなのでどうしたことかと思ってしまうけど、そういう感想になるのにもいちおう理由はあって、それは主人公にして人類のヒーローとなるエンダーが小さな子供だっていうこと。幼さに起因する世界観の狭さによって、兄弟関係が絶対的なものとして君臨しているから、いじめてくる兄ピーターの恐ろしさと優しくしてくれる姉ヴァレンタインの聖性の存在感が、本筋である人類の危機を余裕でうっちゃっているように感じた。敵性エイリアンより兄が怖く、世界より姉が愛しい。そういう偏執的な考え方も主人公がヒーロー兼子供ならば至って自然なんだなあと得心した。
追記するならば、そういうジュブナイルよりの感想こそがいうまでもなく偏執的なのであって、何よりおもしろかったのひとことを書き忘れていたよ。コンタクトと戦争の果てに残るのは切なさだけ。

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))