かわいい孫には旅をさせよ

満員のスタジアムは僕を独りにさせる。重なり合い、雑音のビージーエムと化す歓声を張り上げながら、一様にスタジアムの中心を見つめる人々は、まるで違う世界の住人のように思える。透明人間にでもなったような気分で、僕は、人間観察が趣味の僕は、彼らを観察していた。ぴょんぴょんと飛び跳ねる大学生ふうの男、ビール片手に汚い野次を飛ばすスーツ姿の男、双眼鏡をのぞきこむ老婆。ん、なんだあれは? 祖父の目と眼鏡の間に一枚ずつカードをねじ込む遊びをする幼女。試合には目もくれず、祖父の目と眼鏡との間に集中する幼女。子供らしいといえば聞こえはいいが、ただの不条理な遊びだ。何より不思議なのは、視界が塞がれていくのを微笑んで受け入れながら、試合を見続ける祖父だ。見えない試合になぜ目を向け続けるのか。孫の行為は何であっても受け入れるのか。
「(……おい爺さん、眼鏡まわりがカードだらけだぞ)」

ククク、夢は無い

クラッシュ オーライ
クラッシュ オンヒッピー
クラッシュ ギアライド
夢の中の未来(あす)を飛ばしてゆけ
無限のエナジー レディゴー

   ──CRUSH GEAR FIGHT!! / JAM PROJECT

重要.sys(仮名)が破損してウィンドウズが起動せず、しかもなぜか存分に暖まっていなければ認識すらされないというクラッシュ気味ハードディスクを、ブートCDから起動したうえで、ハードディスク内の検索、動画の再生などによってあくせくとアクセスしまくることで温度を高く保ちながら、USB1.1でちまちまデータを取り出していた、ら、一週間もかかった。ふう。めんどくさかった。
なんかもう増設したりバックアップ取ったりするのは面倒くさいので、P2Pネットワークがストレージ化してその一部を仮想ローカル記憶領域として扱えるように! みたいなことにはならないのかねえ。自分がP2Pネットワークに接続させているハードディスクの容量と同じだけ仮想記憶領域が使えて、さらに100円/GBで追加できる。300GBのハードディスクを繋いで、一万円を払えば、合計で400GBぶん使用可能というような。ネットワーク上に分散されて多重にファイルが存在してればひとつのクラッシュが何も影響がなくなる。認証は誰かがなんとかする。ただまあそうなると、あらゆるファイルがストリーミングなので、光が前提だし、回線が逼迫されまくってプロバイダ料金がぐうんと上がりそうだけどっさあ。
まあそんなこんなでテキストが溜まってしまったので放出閾値を下げて放出。

実況パワフルプロ野球13

現在もっとも大きい数字のついているスポーツゲームだと思われる実況パワフルプロ野球シッリーズ。
13は、ストレートの体感速度が遅くなることで振り遅れなくなり、変化球の曲がり始めが早くなることで見極めやすくなり、三振のない野球ゲームになった。
三振がないことそのものは、野球としてのリアリティには欠けるものの、スポーツゲームにとってスポーツなんてものはルールの元ネタに過ぎないので、それがゲームを良くするためであるならば、どう改変しても別に構わない。しかも、今は、間口の広さと敷居の低さが幅を利かせていると思われているとおれには思われる時代なので、難度が徐々に下がっていくのは仕方ない。
でも、敷居を下げて間口を広げるんだったら、難度における言葉の使い方を考えるって手もあるよなあ。現在の、『ぷぅ〜』『よわい』『ふつう』『つよい』『パワフル』の五段階では、初心者はちっぽけな自身のプライドを傷つけるために名づけられたかのような『ぷぅ〜』という名の難度なんて選択しにくいし、タイトルにも含まれる言葉である『パワフル』が製作者の想定した難度だと思われるかもしれない。まあ昔からの名残なので変えにくいとは思うけど。

――「パワプロ」は基本の難易度は変えていないですよね?

谷渕氏:最近は、少しいじってますよ。今の若い人にも遊んでいただきたいんで。
インタビュー

でもこんなことを言うなら、最初の話にもどるけど、野球としてのリアリティを失くしてまで取っ付きやすくするのは、パワプロの御新規さんに多いであろう、ゲームにたいして興味のない野球大好きっ子の望むところではなかろうから、三振がなくなるってのは良くないと思うんだよな。だから、基本の難度は変えずに、最低難度を初心者に選択させるように、あるいは最高難度がめちゃくちゃ難しくても納得できるように、難度の名前を変えるというシンプルな手をだねえ……。

愛と勇気とかしわもち

三分ゲーらしく三分ほどやってみた。ファミ通クロスレビューよりも遥かに短いであろうプレイ時間で、クロスもせず、また点数もつけないレビューというわけで、そもそもファミ通クロスレビューと対比させた意味がわからないただの感想なんだけど、まあとにかく三分ゲーなのだから三分で感想を書こうかとい思ったのだ。いやしかし、三分という制約は作者と企画者のものであって、プレイヤーは好きなだけ好きなように楽しめばいいじゃないかというのがまっとうな考え方だろう。ということで、やっぱり数十分やった。
パズル部分はいい具合の三分ゲー(というかパズルならたいていは三分ゲーと言える)だけど、ストーリー部分が、おそらく恐怖の演出だと思うんだけど、テキスト表示速度が遅い。だいたいおれは二十文字/secくらいのスピードで読むので、一文字/secくらいのテキスト表示速度に固定されると、一文字ごとに零点九五秒ものフリータイムがある。一文字ごとに腕立て一回はできそうなくらい。おれがせっかちなのかもしれないけど、あんまり望ましい演出じゃない。早くストーリーの先を見たいから任意のスピードで読ませろというのももちろんだけど、そもそもこれはパズルゲームなので、はやく次のパズルプレイをしたいという気持ちもある。
これってRPGのストーリーうざいって話とも関連して、テキストアドベンチャー以外にテキスト主体のストーリーをふんだんに盛り込むってのは、常に反感が付きまとうものだよなあと思った。

四六時中

Wiiは、チャンネルだのリモコンだのという名称からも明らかなように、従来のテレビに溶け込もうとしているわけだが、どこまでいけば完全にテレビに溶け込んだといえるのか。Wii Connect 24という機能のために常時スタンバイモードで、しかも起動が三秒以内という特性があるので、テレビを外部入力モードにした瞬間に、それを察知したWiiも瞬時に電源が入る、これで完全にテレビのチャンネル化するが、外部入力というのは文字通り入力であって何も出力しないので、Wiiにテレビの状態を伝えるのは無理だな。まあリモコンで電源を入れられるので充分といえば充分か。

イルマーレのCM。

違う時間に生きていて実際に出会えない人同士の恋愛映画、というあらすじを伝えるCMだけど、これはなんともかわいそうだ。CM内では時間跳躍の原因がいっさい提示されず、そればかりか時間跳躍の原因なんてそもそも無さそうな現代的な雰囲気(主観)だったので、感じられるのは、ただ時を隔てた離ればなれの恋人というモチーフだけ。そんなわけで、彼らは作品外の理由(ヒトヒネリ加えた遠距離恋愛が熱い! とのマーケティングリサーチ結果、など)によって引き離されたのだと思うほかなく、そんな現実世界の都合なんてイルマーレ世界ではただの不条理じゃないか、かわいそうに。と思えるCMだった。

結婚できない男。

最終回の、それも残り十分くらいだけみたいんだけど、なんかカメラの使い方がテクニカルでスタイリッシュだった。上からズーム。横にスライド。手前の小物にピントを合わせてその後ろでドラマティックなイベント。そんな感じで十分間ずっと。ストーリーが全然わからなかったのもあって、カメラばかりが気になった。
こういった演出は月九トレンディっぽいなあとか思って見てたんだけど、実際の内容は、結婚できない男がぐずぐずするコメディなんだよな。まあなんにしても、十分じゃあ何もわかりゃあせんなあ。

テレビ東京日記

テレビ東京といえば、どんな重大事が起こっても通常放送を続けることがたびたびネット上で祭り上げられる局なわけだけど、そういったネット一般のテレ東像とは異なった、些細な事を重大に扱ってしまう一面が先日スポーツ魂で。

先程のコーナーで『みずをえたさかな』という表現を使いましたが、正しくは『みずをえたうお』でした。申し訳ございません。

もし一般クレーマーのひと言でわざわざこの訂正を入れたのだとすると、誤字脱字をコメント欄で指摘してもらってお礼を言う個人ブログの書き手みたいなリテラシで、確かにこいつは視聴者に近いテレビ局だなあと思った。特別放送を『しない』で『通常』放送をすることには特別なおもしろさを感じないんだけど、今回の訂正は、擬人化フィルタを無理やり通した上で柔軟な考え方をすることによって

マンガ・アニメ・ゲームの少女キャラなどの持つ、「おたく好み」の要素(猫耳・巫女などの外見、ドジ・強気などの性格、幼馴染み・妹などの状況)や、それを有するキャラクター自身への、到達がかなわないニュアンスを持つ好意

を感じられるなあ。