フェアリイ・ランド

最近のハヤカワと言えば、SFを萌え路線に乗せんじゃねえよと筋金入りのオッタァの方々に溜息をもらさせる出版社。そしてこの本は思いっきりその路線に乗せられている。あらすじと表紙によって示されている唯一のことが、自らが王女として君臨するフェアリイ・ランドという世界を作ってロボットたちを侍らせようと企む十二歳の天才美少女ミレーナの存在。でもまあ、時は二十一世紀、ブラウン管がかんかんに怒り、ライトノベルが氾濫する時代、そんなもんそんなもん。
そういったところは、ミレーナ十二歳に興味津々のおれとしては望むところなんだけど、肝心の内容が全然キャラクター小説的じゃないってのがチグハグで残念だった。フェアリイだのドールだのミレーナだのモータル・コンバットだのといった名称はキャッチーだし、あらすじにも表紙にも嘘はないんだけど、とにかくこの作品は焦点がキャラクターに当たってない。各キャラクターを区別させる気すらないかもしれない。マジカルサイバー化する二部以降は特に。
あと、ニューロマンサーに似た読みにくさが印象に残った。なんかもうサイバーパンク及びその関連ジャンルはすべて読みにくいのか、あるいは読みにくいSFをさす俗称こそがサイバーパンクだったのか、などと偏った偏見で見てしまいそう。

フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)

フェアリイ・ランド (ハヤカワ文庫SF)