ディスコ探偵水曜日 第三部『解決と○ん○ん』第一回〜第四回

ズギャギャギャーン! 三ヶ月以上も前からひっそりと連載を開始していたなんて、知らなかった。知らなかったが、知ったからには、読むぞ読んだぞおもしろかったぞ。というか第一部の時から最高なので、いいから早く出版をしろよと思ってるぞ。ハリアプ! あ…

陽気なギャングが地球を回す

強盗時の連携と強盗後の金の配分なんてのは、仲間たちの間に信頼関係が成り立ってなければなにかしら問題が起こる起こる起こるもの。でもこの作品の銀行強盗は、運命的な出会いでビビビっときたというくらいの理由で、固く信頼しあっているので大丈夫。金で…

言の葉の樹

毛沢東の文化大革命なんて子供のイタズラみたいなもんだ。 これは言うなれば文化全革命。何から何まですべて、禁止、違法。燃やしすぎで温暖化が懸念されるくらいにあらゆる本が焚書になっていたり、違法な音程という形や意味のないものまでも禁止するぶっと…

北斎の富嶽二十四景

三、四十ページの短編たちのセンターにどんと鎮座する百ページ超えの中篇であるし、内容も北斎など日本の文化がてんこ盛りな作品だというわけで、戸籍という紙切れにジャパニーズと記載され、日本人というレッテルを貼られているおれとしては、感想のひとつ…

スキンツイスター

サイコキネ整形士という未来職業に就いてたら、流行に敏感な美っ少女が「あたいを今どきのギャルにしな」なんて迫ってきて、嬢ちゃんそりゃあ勿体ねえよ、とそういう話。あとはエピローグ。おもしれかった。 しかしまあ、細胞に働きかけて内から形を自在に変…

プレイヤー・ピアノ

機械の管理者や技術者の職を得て自己実現を果たしたIQの高い少数のエリートと、機械に職を奪われ管理されたディストピアで悠々と生活を送るIQの低い多数の市民(労働という生きがいを求める非体制派の者も少なくない)と、エリートと市民の間を揺れ動く主人…

フェアリイ・ランド

最近のハヤカワと言えば、SFを萌え路線に乗せんじゃねえよと筋金入りのオッタァの方々に溜息をもらさせる出版社。そしてこの本は思いっきりその路線に乗せられている。あらすじと表紙によって示されている唯一のことが、自らが王女として君臨するフェアリイ…

重力ピエロ

章題や内容からミステリへの皮肉を感じたので、おれがミステリ大好きっ子だったらもっと楽しめそうだと思った。 様々なモチーフがでてくるし、引用も頻繁にでてくるんだけど、訳のわからないレベルのものはなくて、ほとんどの知識が常識の一歩先くらいの範囲…

ほとんど無害

軽妙なコメディなので読んでいて常に可笑しいってのはいつものことなんだけど、これは、それと同時に物悲しい雰囲気にも包まれているという異色作。みんながみんな知人や記憶を失ったり、並行世界の似非その人が出てきたりで、なんか全員から滲み出る孤独感…

狼と香辛料

言葉を、違和感を覚えさせるように組み合わせて興味を惹き、その意味が本編で明かされる、というタイトルの付け方。実生活レベルではまったく関係性が見出せないが、タイトルになっているくらいだから、『狼と香辛料』の世界では、狼と香辛料という組み合わ…

タイタンの妖女

多くの名言は、本人はジョークのつもりだったのに後世になって勝手に名言として語り継がれてるだけなんじゃねえのとは前に書いたような気がするけど、これもそんな感じなんだよな。おれは軽妙さとか法螺話っぽさがおもしろかったのに、感想を巡った印象だと…

タイタンの妖女

金持ちが麻薬に溺れて荒唐無稽な幻覚や妄想を楽しんでるかのような話だなこりゃあいい身分だよまったく、と思って読んでたら、見透かしたかのように その劇的な一瞬まで、コンスタントはニューポートでの冒険を、麻薬でひきおこされた幻覚なみにしか受け取っ…

フェルマーの最終定理

難解な数学を扱っている本なのに、ページをめくる手を止めずにすらすら読み解いていける平易さ(とおもしろさ)に驚愕。 きっと、古代ギリシャの時代から現代までのフェルマーの最終定理に関わった人間についてのドキュメントという側面が大きいからだろうな…

さようならさようなら! いままで魚をありがとう!!

地球上でのラブストーリーだと言えば、ほかのシリーズと比べてスケールが小さく聞こえるけど、これは、前三作でアホみたいな論理の舞空術を身につけたり、数年にわたって宇宙中を飛びまわったりした経験を持つ主人公の地球上でのラブストーリーなわけで、す…

竜の卵

竜の卵という中性子星に生まれた知的生物のチーラが、人間のように考え、行動し、進歩していく話。中性子星の強力な重力な磁場に押しつぶされて引き伸ばされているために、姿形は、任意に変形可能なアメーバと鮑の間の子という感じのグロ生物なんだけど、考…

ソニックラッシュライフ

プロの泥棒だけど何か質問ある?と偶然にも同日に読んだので、交錯の仕方で思わず笑みがこぼれるようなステキな快感をもたらしてくれるウフフ群像劇だったこのラッシュライフに、プロの泥棒の黒澤ってのがいるんですけど、そいつがまさにスレを立てたVIPPER…

オーデュボンの祈り

はてなダイアリーに本の感想という設定の文章を断続的に書いている80年代生まれの男らしいものを読もうと、オーデュボンの祈りを読んだら、「ちょっと寝る前にベッドで読み始めたらおもしろくてついつい朝までかけて一気に読んじゃった」という世界で一番ス…

グレー・レンズマン

アリシアに赴いて一連の精密な検査を受けてレンズを授けられるという経緯は、メガネ屋に赴いて一連の精密な検査を受けてメガネを受け取るという経緯に類似しており、レンズマンを好くものはメガネをも讃えるべきです。さらに、レンズは精神感応力に密接に関…

断章のグリムI 灰かぶり

物語から個性を取り除くと原型だけが残り、物語の原型に近いものとして神話や童話がある。したがって、おっそろしい悪夢が、神の意識の深層から浮かび上がるにともなって劣化し、最後に残った悪夢の原型だけが現実にあらわれて事件が起こると、それはまるで…

太陽の塔

世の大学生協の書店は、十二月の中ごろのクリスマスフェアでこの本を猛プッシュするべきなんじゃないですかね。これはエロス的愛に支配されたクリスマスにぴったりの書というわけではまったくないけど、というか寝る間を惜しんでのべつまくなしくんずほぐれ…

ソラリス

液体状のでっかい有機的な意識(はソラリスの海にはないかもしれないので機構の方がいいかも)ものっていうと、ドロドロ知性様に人類を呑み込んでもらえるブラッド・ミュージックを思い出すけど、ソラリスはだいぶん方向性が違って、液体状のでっかい有機的…

とらドラ! 1、2、Wii

田村くんの評判の高さを見て、時代の趨勢に鼻ひとつ分くらい置いて行かれた気がしていたので、さて逃避でもしようかと、ツンドラ系美少女から桃太郎伝説2のダジャレ合戦における名文句「車に荷物をツンドラ地方」を思い出して、そのままPCエンジン思いにふけ…

果しなき流れの果に

涼宮ハルヒや藤岡ハルヒもいいけど、角川ハルキ文庫もね。 タイムマシンで時空を股にかけて恐竜や異星人や未来人とドンパチやって盛り上がって、感動の再会っぽいシーンで締め、日常に戻る、というドラえもんの劇場版のような小説でした。ドラえもんの方が後…

ハイペリオン

ヒューマンビッグクランチことレイチェルがかわいくて悲しくて泣かせやがるので、このソルシナリオはkeyあたりがゲーム化するといい。ソルが巡礼に行かないで、家でレイチェルを最後まで見守るシナリオにして。幼児退行していって日々記憶を失っていく娘(レ…

神様家族8巻

最終巻にして外伝。いつものように地の文が楽しいというのはもちろんのこと、構成も均整が取れていてすこぶるおもしろかった。一巻に次ぐくらい。神様家族〈8〉おはよう!こどもショー (MF文庫J)作者: 桑島由一,ヤスダタダヒト出版社/メーカー: メディアファ…

宇宙クリケット大戦争

確かに風評どおりこれは前二作と比べれば落ち……てはいないよなあ別に。プロットのグダグダさや無限不可能性やレストラン数論や『他人ごと』の非論理性のせいで、結局どんな話だったのかは読み終わった今でもよくわからないけど、このシリーズに限って言えば…

ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟

クライマックスの、手を繋いでドーンというシーンが、神話をモチーフにしたからか知りませんが、なんだか神秘的で綺麗なイメージですね。今日は、これと十三年後のクレヨンしんちゃんを見て泣いてました。 こうやって泣いてて思うのが、あー、おれの涙が宝石…

順列都市

世紀のアナグラム小説。「うこん」にされた「うんこ」が「うんこ」としての自我を持ち続ける不思議ストーリー。そして最後はやっぱりアイデンティティー。自己を変革した人間は、まだその人間であると言えるのだろうか。 長編数本分のアイデアを詰め込んだ!…

夢みる宝石

いつもなら淫らな夢に耽っている時間帯に夢みる宝石を読んでいたところ、ワールドベースボールクラシックが始まった、というのがおととい。 アメリカ戦。実におもしろい試合だった。センター前にボテボテのサヨナラヒットが抜けようとした時に、セカンドの西…

九十九十九

九十九十九 作者:舞城 王太郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2003/04 メディア: 新書 はてな: asin:406182306X 清涼院流水や佐藤友哉や太田克史のネタで大笑いできるくらいにこの三人の存在を知っていてよかった、というような本文とあまり関係のないひと…